Venture

新規事業 空き家ポニックス

いのちの循環「福知山アクアポニックスガーデン」

※画像はイメージです

かつて地域の子どもたちの声でにぎわっていた中夜久野保育園。少子化の波の中でその役目を終え、静かに時を重ねてきました。けれども、そこに残された建物や園庭には、まだ消えていない温度と記憶がありました。私たちはその「止まった時間」を、もう一度動かしたいと考え、企画したのが「福知山アクアポニックスガーデン」です。

旧中夜久野保育園からはじまる、小さな循環の物語

再生予定の旧中夜久野保育園

野菜と魚を育てるだけではない、人と自然の学びの庭

新しい命を吹き込む方法として選んだのが、アクアポニックス(Aquaponics)です。魚と植物が水を介して支え合い、ひとつの生態系をつくるこの仕組みは、自然の循環そのもの。水が魚を育て、魚が植物を育て、植物がまた水をきれいにして魚へ返す。その美しい循環を、かつて「人を育てた保育園」で再び「いのちを育てる場」として立ち上げます。

ここでは、野菜や魚を育てるだけではありません。地域の人が集い、学び、働くことができる、“人と自然の学びの庭”を目指しています。子どもたちは水槽の中を泳ぐ魚から命の循環を学び、高齢者は植物の成長を見守る。世代を超えて交わる風景が、またこの地域に戻ってきます。

効率的な生産よりも「関係を育てる」こと

アクアポニックスガーデンの運営は、地域内での小さな雇用を生み出し、農業経験のない人でも関われる新しい仕事の形を生み出します。さらに、ここで収穫された野菜やハーブ、養殖魚は地域内のカフェや直売所だけでなく、京阪神の都市部のレストランへと出荷します。

私たちが目指すのは、効率的な生産ではなく、“関係を育てる”こと。

自然と人、人と人、都市と地方が、ゆるやかに支え合うネットワークをこの小さな保育園跡から広げていきたいと考えています。

育つ、巡る、つながる。

試験的運用による野菜の栽培/飼育中のチョウザメ

このプロジェクトは、地方に眠る遊休施設を「循環の拠点」へと変える試みでもあります。アクアポニックスを核としたこの取り組みが、福知山から全国の地域再生のヒントとなるように。そして、ここで生まれる水の循環が、人と地域の新しいつながりの循環へと育っていくように。

そのすべてが息づく場所として、「福知山アクアポニックスガーデン」はこれからも静かに流れ続けていきます。福知山という豊かな自然と文化を持つ土地の中で、このガーデンは「未来の地域づくり」を小さなスケールから実践する拠点になります。